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ダイバーシティ経営導入のポイント

経営方針としてトップが明確な姿勢を示すことが重要です。なぜダイバーシティが必要か、自社の目標・目的はどこにあるのかを周知し、理念が一致しているかメンバーともコミュニケーションを取って確認します。

 

ビジョンの策定(P)

①    目的の明確化

全社員が共通の認識を持って取り組めるようダイバーシティの定義を明確にします。「何のために」ダイバーシティを進めるのか、具体的に明文化しておきます。目的の明確化に当たって、5つの側面から検討します。

  • 経営者の意識:経営トップがダイバーシティ経営を決意し、困難があっても乗り越える覚悟が前提となります。特に中小企業では経営者の取り組み姿勢が何よりの決め手になります。「なぜダイバーシティなのか」基本的な意識を確認しておきます。
  • 先進事例の研究:すでにダイバーシティに取り組んでいる企業の事例を研究しておくことは有益です。
  • 社内のニーズ調査:ダイバーシティという言葉自体が認知度は高いとはいえません。最初の調査段階ではダイバーシティという言葉を使わずに社員の意識調査を行います。
  • 利害関係者の洗い出し:ダイバーシティを推進することで影響する利害関係者を明確にします。関係部門から推進担当者を選出するときに役立ちます。
  • 自社におけるダイバーシティの定義づけ:自社のダイバーシティをどのように定義づけるかは、全社員を巻き込んだ共通言語化に重要なステップです。経営者の意識、社内のニーズを踏まえて定義を作ります。

②    推進体制の構築

利害関係者の関係部門から推進担当者を抜擢します。さまざまな抵抗が生まれてくるので、抵抗に負けることなく動けることが重要です。また担当者が孤立したり、周囲とのコミュニケーションが取れなかったりする状況になると取り組みが停滞します。ダイバーシティに取り組むことを全社員が認識することで、推進担当者が活動しやすい体制を整備します。ここにおいて、経営者は推進リーダーとして関わることが重要です。

 

基盤構築(D)

①アクションプランの策定

ダイバーシティの施策として主なものは、制度改革、意識啓発、知識付与、コミュニケーション向上などに分類できます。このうち制度改革は自社のビジネス環境や人事施策との関連性を持たせることが必要です。人事制度や就業規則の変更を伴うこともあり慎重に対応する必要があります。この意識啓発や知識付与は全社員に行いますが、特にマネジメント層には不可欠です。

 

②社内告知

組織の規模が大きくなるほど、浸透に時間がかかります。イントラネットに専用サイトを設けたり、社内報に掲載したり、e-ラーニング、ハンドブックの配布などの工夫が必要です。

 

アクションプランの実行(C)

①業務改善

ダイバーシティを推進していくためには、業務フローの改善が不可欠です。業務改善の課題を抽出し、優先順位をつけます。

  • 意思決定の手続き:意思決定の手続きを円滑にする必要があります。そのためには、管理職にある程度の権限を付与して裁量の余地を与え、承認・決裁フローを明確にします。
  • 情報の共有化:業務遂行に必要な情報は共有化を図り、メンバー同士の認識を合わせることで、コミュニケーションや合意形成が迅速化し、業務が効率的に進められるようになります。
  • マニュアル化:日頃からまとめられる箇所から徐々に文書化を進め、ある程度の内容が集まった段階で体系化していくと作業自体も効率的です。
  • 人員配置・業務量の配分:管理職がメンバーの業務量・内容・進捗状況を把握し、メンバーのスキル向上を図り、多能工化することでメンバー相互にサポートし合える状況を作ります。

 評価改善(A)

①評価指標

PDCAを意識し、定期的に業務改善評価を行います。職場風土面・健康面・生産面で効果が期待できますが、効果が出ていない内容はさらなる改善を行います。現状把握のために行った調査を、成果を測る指標とすることもできます。社員の意識や行動が変わっていくため、定期的に調査を行います。

 

また、売上など財務的指標にも効果は出てきます。短期的な視点では経済環境や事業環境に影響されるため、長期的視点で評価します。

 

一社)日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構専務理事 油井文江