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働き方改革は「働きがい改革」

多様性のマネジメントが大事に

働き方改革は、時間軸で見れば明治期以降初めてのパラダイム(規範)転換ということができます。背景には、工業社会からサービス・ソフトの3次産業社会への変化や、明治以来増え続けた人口が一気に反転する人口減少と高齢社会の到来、グローバルな市場競争力の低下などがあります。

 

これらの変化は、足元では様々な世代や属性が入り混じる職場環境や複雑な雇用形態となって現れ、会社と社員の関係も変わってきました。会社への帰属意識を一方的に求めることはもはや困難で、物の見方が違う一人ひとりの多様性を大事にし、かつ成果を上げる組織づくりが迫られています。

 

個人と組織の関係の見直し

組織は、人が2人以上集まり、特定の目的に向かって協働することから始まります。協働がうまくいくためには①目的の共有、②貢献意欲、③コミュニケーションの3要素が不可欠です。(経営学ではこれを「組織の3要素」といいます。)

日本のこれまでの経営では、上意下達のピラミッド型でこの3要素を管理してきました。個人の論理より組織の論理を優先する集団主義的な体制は、80年代までの工業社会では強みであり、一定の成果を収めましたが、これからのマネジメントは大きく異なります。異なる軸として、個人と組織の関係の見直しがあります。組織は利益追求だけでなく個人の論理を重視し、個人の自己充実手段としての仕事を支援するという、組織観の逆転ともいうべき見直しとなります。

 

ヒト資源のマネジメント改革 

組織のマネジメントが「逆転」するほど変わるのは、産業経済の変化に関係しています。中小企業白書2018年版ではそれを「付加価値の源泉が資本から人材へ移行」と表現しました。経済の高度化対象が「モノ・カネ」から「ヒト」に移行するとは、マネジメントの焦点が「ヒト」になるということです。働き方改革はこのヒト資源のマネジメント改革として登場したものです。

 

社員のコミットメント(主体的関与)が要

働き方改革を進めるうえで、注意すべき点が2つあります。

一つは、上からの形式的、定量的な枠決めだけでは進まないということです。法令対応でカタチだけ作るという企業の対応は、残念ながらこれまでのワーク・ライフ・バランスや女性活躍等の取組に少なからず見られました。

企業にとっての改革の目的は、利益の最大化であり生産性の向上です。しかし生産性といえばコストカットと考えがちな日本企業では、働き方改革と利益増の認識がつながらないまま20~30年間が経過。その間に働き手と職場の環境に様々なギャップが広がりました。

 

もう一つは、改革の成功の要は社員一人ひとりのコミットメントにあるということです。職場環境整備を進めても社員のモチベーションが上がらないとの声を聞きます。お仕着せの改革と指示・命令ではなく、社員がやる気を高めるような内容と進め方が必要です。これは働き方というよりは「働きがい改革」というべきものです。

 

形式的・表層的な改革から脱すること、多様な社員のコミットメントを求め、¨働き気分¨が高い職場づくりに向かうこと、これが働き方改革のポイントと言えます。

 

一社)日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構専務理事 油井文江